(1)背景
男川浄水場は、排水処理返送水、雨水等を浄水処理工程に組み込むクローズドシステムの浄水場であり、クローズドシステムの浄水場では浄水場内で溶解性マンガンが循環し蓄積されていくことで、浄水処理工程において、①次亜消費量の増大、②次亜注入による「着色」が懸念されていた。
新男川浄水場では浄水場内を循環する溶解性マンガンを削減することを目的に、排水処理施設の一部にpHを11.5にして溶解性マンガンを不溶解化させる「水酸化物法」を用いたマンガン処理設備を設置した。
(2)課題
現在、日本国内でクローズドシステムの浄水場の排水処理工程においてマンガン処理を行っている事例は男川浄水場以外に2例しかなく、男川浄水場と同様の水酸化物法による処理を行っている浄水場は1つのみである。
また、その浄水場は給水能力が男川浄水場の25倍以上となる約180万m3/日あり、規模が大きく違う為、運転管理の知見やノウハウがなかった。
(3)解決方法・結果
①マンガン処理設備の管理方法、管理に必要な指標などを設定。
マンガン処理設備の運転を行う基準の決定(流入水のマンガン濃度が低い場合の対応等の決定)。
運転管理と並行して実施可能な範囲でマンガン濃度測定を実施。
沈殿槽汚泥の定期的な測定を実施。これらを行い、運転を継続しながらデータ収集と解析を行い、当該設備に最適な沈殿槽汚泥引き抜きタイミング、フロック形成槽pH、等の管理指標を決定した。
②上記をまとめ、日本水道協会の研究発表会でマンガン処理設備運転に関する知見を発表した。